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用語集

精神科救急病院における未治療統合失調症患者の医療保護入院までの期間について

演題名

精神科救急病院における未治療統合失調症患者の医療保護入院までの期間について

著書名

福田真道1)、篠原義政1)、黒川達也1)2)、網野賀一郎1)2)、高橋寿直1)、

木内健二郎1)、松岡健1)、片山成仁1)2)

所属 1)医療法人社団成仁 成仁病院  2)東京医科大学 精神医学教室

 

目的

統合失調症は早期介入、早期寛解が必要性だが、実際未治療のまま長期間放置されている患者がいるのも実情である。フリーアクセス型精神科救急医療を行っている成仁病院において医療保護入院となった未治療統合失調症患者に注目し調査を行った。

 

方法

2009年1月1日から2009年12月15日の期間において成仁病院へ医療保護入院となった未治療統合失調症患者の年齢、性別、発症から受診までの期間を比較検討した。

 

結果

調査期間に成仁病院へ医療保護入院となった未治療統合失調症患者は46名で男性18名、女性28名と女性の割合が高かった。年齢別では、10歳代4名、20歳代15名、30歳代12名、40歳代7名、50歳代2名、60歳代6名であった。平均年齢は36歳で最低年齢は12歳、最高年齢は68歳であった。発症から入院までの期間別では、2週以内8名、1カ月以内14名、1カ月~3カ月6名、3カ月~6カ月2名、6カ月~1年3名、1年~3年3名、3年~5年2名、5年~10年2名、10年以上未治療で経過した患者が6名おり、発症から入院まで最長25年を要した患者もいた。

 

考察

統合失調症患者は若年男性に多いといわれているが成仁病院へ医療保護入院となった患者は女性が多かった。平均年齢が36歳であり、一般に男性患者より女性患者の発症年齢が高くなるといわれているためそれに合致していると考えられた。当院がフリーアクセス型救急によるソフト救急を中心に行っており、男性患者は措置入院によるハード救急で他院へ入院している可能性も示唆され、女性入院患者が多くなったと考えられた。

受診までの罹病期間においては46名中22名が1カ月以内に入院しており約半数が早期介入できていると考えられた。一方で10年以上の未治療期間のある患者が6名あり、長期間未治療となっている患者への治療介入の必要性があると考えられた。

(文字数781

発表用スライド

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