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フリーアクセス型精神科救急医療におけるトリアージの手法
フリーアクセス型精神科救急医療におけるトリアージの手法
当院は、フリーアクセス型精神科救急医療での患者を受け入れています。その中には、軽症の精神症状の患者、時間外外来希望者、薬だけを希望する者の要請も多いため、精神科救急の社会的資源を有効に活用する為、トリアージを積極的に導入する必要がありました。
対応者で見解が異ならないよう、統一したトリアージを行うため、救急インテーク表とフローチャートを作成しました。トリアージを作成するにあたり、当院が緊急性を判定すること、行動療法を重視すること、自費扱い対応も取り入れました。また、治療方針と処遇を当院に一任する事への同意の有無に最大のポイントを置きました。
救急要請時には、最初に救急インテーク表の該当欄を埋めながら緊急性を当院で○△×で総合判定し、各フローチャートの流れに従い対応しました。
×の判定は、他科治療が優先であり他科トリアージを行う場合と治療契約が結べない場合。この判定の時は治療不能と判断し行動療法を行う対応をしました。
○の判定は、即対応レベル。
△の判定は、翌日対応レベルとしました。
○即対応レベルであり、受け入れるフローチャートでは、本人が治療内容と処遇等の方針を当院に一任するか否かを確認しました。当院に一任する場合は入院となります。
当院に一任しない場合は、家族が付添もしくは連絡可能かを確認しました。家族がいない場合は入院となります。家族がいる場合は、家族が当院に一任するか否かを確認しました。家族が当院に一任する場合は入院となりますが、一任されない場合は、当面の危機回避のための短期間入院の同意の有無を確認し、同意が得られれば短期間入院となります。しかし、同意が得られなければ、希望に沿う病院を選んで頂く事となります。
次に△翌日対応レベルのフローチャートです。「救急であるからこそ、治療内容と処遇等の方針は当院に一任する事。また、外来診療で帰宅する場合もありうる事」を患者に対して説明し、その反応を確認します。理解が得られれば、翌日の受診を勧め電話対応で救急要請を辞退して頂いたり、受診後に帰宅又は入院する対応となります。
しかし、理解が得られなければ、次のスライドのように対処致します。
頓服対応を促し、日中の受診を指示することに同意があれば、電話対応で救急要請を辞退となります。もし同意が得られなければ、自身の希望だけの診療に関しては、自費診療扱いの対応をしていることを説明します。自費診療扱いでも診療を希望される場合は受診後帰宅されます。しかし、自己要求のみであり要医療ではない場合は、電話対応で救急要請を辞退させることに徹する対応をします。
このトリアージの結果から、最終的に以下の6つの処遇に分類できました。A:緊急性があり入院治療で改善が見込まれる群。 B:当面の危機回避のため短期間入院を要する群。 C:外来受診後帰宅する群。 D:電話対応で救急要請を辞退した群。E:判断に困惑した群。F:その他。
この処遇の結果を平成20年5月21日から同年12月7日までの200日間の集計しましたところ、救急要請件数の合計は651件でした。そのうち図でお示ししますように、内訳の百分率はA32%、B14%、C13%、D35%、E1%、F5%でした。先方からのクレームや決裂例は0.6%でした。
考察。独自のトリアージ基準を設け、このトリアージをした結果、D(翌日対応レベルの電話対応で救急要請を辞退した群)が多くなったと考えられました。このことから当院のトリアージは、真に入院治療の必要な患者を選別するための有効な方略と考えられました。
登録番号 : 10209
演題名 : フリーアクセス型精神科救急医療におけるトリアージの手法。
所属機関名 : 医療法人社団 成仁病院
筆頭著者姓 : 篠原
筆頭著者名 : 義政
発表形式 : 精神科救急2(口演)
発表日 : 2009/05/23