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用語集

ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)減薬治療における修正型電気痙攣療法(m-ECT)の有効性

l  黒川 達也1,2、篠原 義政、網野 賀一郎1,2、木内 健二郎、片山 成仁1,2

l  東京医科大学精神医学教室、医療法人社団成仁病院、

l  演題:ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)減薬治療における修正型電気痙攣療法(m-ECT)の有効性

l  目的:精神科救急においてBZDの過量服用や離脱症状による意識変容を呈する患者の比率は多いが、その治療の決め手を欠く。従来では抗精神病薬や抗てんかん薬に置換しながら漸減するが、離脱症状による治療中止が多い。ここでは減薬治療におけるm-ECTの有効性を評価する。

l  対象:平成19年7月1日~平成20年10月31日の間に、当院で減薬治療を受けたICD-10のF-13を満たすBZD使用患者である。計32名の内、m-ECT使用群は19名(男8、女11)、平均年齢42.1±6.6歳。m-ECT非使用群は13名(男2、女11)、平均年齢45.6±12.5歳であった。

l  方法:m-ECTに対して同意を得てから試行した。患者が「これ以上の減薬は耐えられない」旨を訴えた時点で減薬終了し、以下の①、②を行った。

    減薬治療した患者で減薬拒否した患者の比率を両群で比較した。

    減薬拒否しなかった患者に関して治療前後のBZD減少率(ジアゼパム換算)と使用BZD種類数の減少率(同上)の平均値を算出し両群を比較した。

l  結果:

①に関しては以下の通り。

・m-ECT使用群の減薬拒否率:5.3%

・m-ECT非使用群の減薬拒否率:38.5%             ②に関しては以下の通り。

【m-ECT使用群のBZD量】       【種類数平均値】

治療前:23.3±14.8mg       2.8±1.3

治療後: 5.2± 5.2mg       0.9±0.8

【m-ECT非使用群のBZD量】      【種類数平均値】

治療前:23.1±12.2mg       2.2±1.2

治療後:15.3±12.9mg       1.7±0.5

l  考察:上記結果より、m-ECTのBZD性精神症状の減薬における有効性が示された。急性離脱症状を軽減している可能性も高い。BZD乱用による意識変容に対してm-ECTは一時的に意識を消失させてから清明にする。この機序が減薬に有効であると推測される。

発表用スライド

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