ひきこもりと相談支援 前編

おはようございます。相談支援専門員のぽいです。

久しぶりにブログ更新します。。。

令和3年8月に東京都 引きこもりにかかわる支援協議会から「ひきこもりに係る支援の充実に向けて」と7つの提言が出されました。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/08/31/documents/18_02.pdf

引きこもりを切り口としていますが令和3年4月障がい福祉サービス報酬改定で『地域共生社会』をと、介護保険や精神障害の分野でも『地域包括ケアシステム構築を』と、SDGsのような『誰一人とりこぼさない』といった様々な分野と共通した課題があるなと感じましたので7つの提言をひとつづつ見ていきたいなと思います。

引きこもりの定義とは?

「様々な要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6ヶ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」と厚労省の定義。外出していても他者と交わらない外出は引きこもり状態として含まれているようです。東京都の定義としては上記に加えて、「状態を指す概念であり、それ自体は必ずしも問題行動や疾患を意味するわけではないが、自尊感情を失っていたり、生きがいをもって自分らしく、よりよく生きる意欲や勇気を失っている場合が少なくない・・・略」とある。

引きこもり・・・この状態が悪だ!という意味ではなく、ひきこもりを原因として当事者や家族に起きる問題に着目するという視点を持つこと☆引きこもりは悪い行為で、早期介入すべきだと本人の意思を無視した支援は逆にこじれにつながるので注意が必要です

という前提から7つの提言をひとつづつ見ていきましょう

提言1 ひきこもりへの理解促進のための都民や関係者への普及啓発

日本は恥の文化がある、と言われているように人に弱みを見せない、苦労を隠すのが美徳、THE・おしん世代なんですけど「こんなことで相談してはいけない」「こんな息子(娘)の相談するなんて恥だ」と相談しづらい文化的な背景があります。まず、相談しづらいんですよね

ただ引きこもりは『誰にでも起こる』『相談してもいい悩み』なんだと社会を変容させる必要があります。地域からみても引きこもりの子がいるらしいよ、、、ヒソヒソと偏見(甘えや怠け、育て方の問題との捉え)ではなく「誰でもおこりうる防衛反応のひとつ」との考えの切り替えが重要です。

実際に引きこもり支援に入るときは、すでに何年も経過している(相談するまでに悩みに悩み、、、やっと相談)ことや、引きこもりの当事者自体は「特に困ってないです」と話はするものの後々、話を聞くと「悩みを打ち明けちゃいけないんじゃないか?」「相談の仕方がわからない」「こんな年だし、もう相談しても意味ないかな」とか毎日の苦しさを感じていことを吐露される方もいました。

自責の念にかられて苦しい日々を過ごしている方は少なくないのかな?と感じます

提言2 相談窓口の明確化と当事者・家族に適切に届く効果的な情報発信

相談すること自体、ハードルが高いのですが、それに加えて相談先はどこなんだろう??と身近な地域でどこに相談すればいいのか?わからない

病院?保健所?民生委員?地域包括支援センター?社会福祉協議会?などありますね。

足立区ではSODAやくらしとしごとの相談センター、権利擁護センターなど多岐の相談機関があるのが強みです。引きこもりだから「ここ」という場所ではなく、引きこもりによって生じる家庭ごとの問題に応じて相談箇所も変わるでしょう。

すなわち、情報発信が重要です。YoutubeやSNSの活用など引きこもりの方に届く形は何か?を試行錯誤していく必要があります。高齢者では詐欺なども多発しています。困りごとにつけこむ誤った情報から守る活動も重要と思います。

提言3 身近な地域における相談体制の充実と適切な支援機関の紹介

ひきこもり状態にある方は時に統合失調症の症状の方も少なくありません(未治療の状態)。ぽいの相談支援事業所に相談がくる時点で精神科医療機関で治療診断を受けた後に障害福祉サービスの利用に至る、、、というパターンは結構あります。引きこもりの影には精神疾患が隠れていることもある。と医療の目が必要ですし、逆に医療が必要と思って支援に入ったが精神疾患ではなかった、、、というケースもあります。

相談支援事業所の立場ですと、精神科医療・障がい福祉サービスの対象であれば支援の方向性は立てやすのですが、、、と違った場合はつなぐ支援に徹する場合もあります。

SDG sの理念として「誰一人とりこぼさない」を実践するため、ワンストップ(たらい回ししない)の地域相談体制を作ることは理念としては重要ですが、特定の専門機関が一手にその相談を引き受けるには専門分野が幅広すぎてしまうため連携・協同で相談できるネットワーク・プラットフォーム型の相談支援体制を地域で構築していかなくてはなりません。

まさに地域包括ケアシステムが重要になってくるかと思います。

長くなってきたので残りは次回ということで〜