ひきこもりと相談支援 後編

おはようございます。相談支援専門員のぽいです。

前回の続きになります。。。

令和3年8月に東京都 引きこもりにかかわる支援協議会から「ひきこもりに係る支援の充実に向けて」と7つの提言が出されました。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/08/31/documents/18_02.pdf

前回は提言3までまとめましたので、4〜7をまとめてみたいと思います

提言4 多様な社会参加の場の充実

引きこもりといえば、昔はいじめなどによる不登校等を理由とする学生や思春期特有の現象といわれていましたが、全年齢に渡って幅広く、また引きこもりが長期化しているケースなども一定数あるなど状況が変わってきました。いわゆる8050問題です。

精神疾患があり、精神科医療につながれば精神科デイケアや障害福祉サービスによる就労移行支援事業所・就労着支援A/B型などの就労支援などが受けられます。高齢者であればデイサービスやオレンジカフェなどもありますよね。

足立区の高齢者施設では地域にトレーニングマシンを開放しているところもあります。

昨今ですと、コロナの影響もあって居場所自体が閉鎖される問題も多いですし、足を運ぶのが苦手な方も多いでしょうからオンラインの集まりなど多様な居場所があって、安心・安全な場所を確保できるといいですね。

ただ、「地元じゃないほうがいいな」という方も一定数います。その地域だけでなく、広域での連携も求められる場面も想定しておく必要があるのでしょう。

提言5 支援者と当事者・家族との信頼関係の構築と継続的支援

命よりも尊厳が大事という価値観も時に聞こえます。命を守るためと本人の権利・尊厳の尊重・回復をないがしろにすることはできません。

ひきこもりの方は自責の念を抱えていることや自己肯定感が低い方も少なくありません。

1度ひきこもりから回復しても、また引きこもりになることもあるでしょう。その後の支援を受けていた方は非常に少ないようです。やっぱりダメだったか、、、と思うことでしょう。いろんな地域に出ることができた。社会復帰できたと思っていても孤独を感じ続けているかもしれません。

支援者が介入したからといって問題が直ぐに解決できるわけでもありません。

長期的な支援が重要ですし、継続的な支援が重要となります。

地域から見放されたと思われないようアンテナを立てて、アウトリーチについて検討していく(忘れない!)ことが重要ですよね。ただ、訪問される事自体が負担感につながりかねませんからバランスも重要です。

提言6 当事者・家族に寄り添う相談員・支援員の支援スキルの向上

地域つくりのためには支援者側のスキル向上が求められます。ひきこもりの専門家って地域にいるのでしょうか?

相談支援の分野でいえば本人主体・支援へのアクセス方法の確保・支援の継続性の確保が地域作りのベースとなっています。

本人の主体性を引き出し伴走役になる。このスキルって意外と簡単なようで難しい。ただケアマネジメントスキルは介護保険で言えばケアマネージャー、障害福祉サービスでいえば相談支援専門員、最近では精神科デイケアのなかにケアマネジメントスキルを持ち込む機関も増えているようです(もともとあったが、福祉サービスができて消えていった気がします)。

地域のなかでスキルアップできる人材育成システムの構築が重要と感じています。

提言7 地域における連携ネットワークの構築

専門性を高めると同時に

『医療・福祉・介護といった制度の壁』を越えての連携

役所でいえば『縦割り』もあるでしょう

『支援者と当事者』といった枠組みもあるでしょう。

垣根を超えた様々な関係機関との連携作りが重要です。医療だけ、介護だけ、福祉だけでは対応できない多様で複合的な課題が地域にはあります。ワンストップの相談からプラットフォームへ。地域の社会資源にも差があるでしょう。まさに地域特性に合わせた地域包括ケアシステムが重要と思います。

ポイも地域のなかでも既存の枠組みを超えた超党派的な研究会に参加しています。正直、テーマや分野が違うので内容的に??と思うときもありますが他分野の勉強だし、これぞ包括ケアシステムってことで専門性を深めるだけじゃない研究会って感じでワクワクをいつも感じています。

まとめ

この7つの提言はひきこもり支援に関することですが、精神障がい者支援全般や介護支援など地域包括ケアシステムが求められる分野に共通していると感じたためまとめました。ひきこもり専門のワンストップ相談機関が地域ごとに設置できれば理想なのかもしれませんが現実的ではありません。状態ごとに専門ワンストップ機関をつくるよりも面的な整備を強化することが今の時代の流れなんでしょうか?なんて感じました。

以上です。

こういう制度・たてわりを越えた地域研究会が重要と思います。