成仁は保健師として確立した仕事があるというのが魅力的ですね

2020年新卒入職 臨床保健師Oさん

※所属や仕事内容は2022年8月の取材当時のものです。

現在の仕事内容を教えてください

主に4階の病棟で、トリアージと入院相談の仕事をしています。あとはケースワークなどのプライマリーナースの業務も行なっています。トリアージというのは救急隊や警察、ご家族から電話をいただいて、当日入院のお受け入れをするか、後日お受け入れするかを状態に応じて判断するといった入院相談の業務を指します。相談の内容はOD(過量服薬)をしてしまった方や希死念慮といい「死にたい気持ち」が高まっている方、易怒性が強くなって興奮されている認知症の方など様々な内容がきます。

もう一つのケースワークの業務では、患者さんを入院から退院まで、一人の方を受け持ち続けて、治療が行き滞っている方がいたら、薬物の調整をもうちょっとした方がいいのではないかというのを先生にお伝えしたり、ご家族とICといった話し合いの場のセッティング、退院が近づいたら訪問看護や訪問診療の導入を進めながら、退院後再入院せずに地域で暮らし続けられるような支援をしています。

退院後の支援について悩むことは多いです。訪問看護や訪問診療からデイケアなどの医療サービスだけではなく、相談支援事業などの福祉サービスまで、いろいろなアウトリーチが当院にはありますので、退院の際にはそういった社会資源を導入します。しかし、精神科の患者さんは再入院を繰り返す方が多いので、再入院を予防できる在宅生活の支援体制づくりが、かなり難しいところではあります。

部署以外の仕事はありますか?

部署の仕事以外では、委員会活動があったりします。私は教育委員会に入っていますが、1年目看護師さんへの研修対応や看護学生さんの実習の指導担当などもさせていただいています。

研修は1年目の職員が毎週木曜日に集まって新人研修を対面で行っていて、その講師をしています。

看護学校の実習対応の方は、今3〜4校ぐらいの学校が来ていて、すごい頻度で学生さんが病棟にいるので結構大変ですね(笑)

実習の担当をやってみて、まだ3年目で、この間まで実習を受けていた側なのに担当を任せてもらって、私にちゃんと教えられるのかなっていう不安はあります。指導から私自身が学べることもあって、学生さんが持っている視点は新鮮で、そういったところから自分も初心に帰って看護しようという気持ちになります。

成仁を選んだ理由を教えてください

最初は身体科の病院で看護師として働こうと思ったのですが、成仁は保健師を保健師として雇ってくれる病院ということで、いつかは保健師として働きたいなっていうのがあったので、1年目から働かせてくれるというのがすごく魅力的で成仁を選びました。

他にも、地域にかなり密着している精神科医療機関ということも選んだ理由です。先程お伝えした、訪問看護や訪問診療を当院はやっているので、いろいろなサービスを患者さんに身近な立場で入れながら支援できるというのがかなり魅力的で選びました。 いまでこそ急性期病院である成仁病院が注目されていますが、元々成仁は、在宅で精神科医療を提供していた法人で、在宅医療のプロフェッショナルなだけあって、地域医療への底力は日々痛感させられますね。

当院には保健師として働きたいという人材も多く来てくれます。様々な病院で保健師の求人はありますが、実際は保健師として働かせてくれるわけではなく、資格を持っているだけで看護師として働くことが多いので、成仁は保健師として確立した仕事があるというのが魅力的ですね。

臨床保健師の部署の特徴を教えてください

臨床保健師はトリアージを主に行っているのが特徴です。人数の少ない部署ですが、その分かなりチームワークがとりやすく、密に情報共有を行って仕事を進めています。

人間関係は歳が近い人ばかりなので、何でも分からないことがあったら質問したり、悩みを打ち明けたりというのがしやすいので、かなり居心地が良い部署なんじゃないかなと思っています。

仕事で大切にしていることを教えてください

たくさんの人と関わることが多いので、自分の意見で周りの意見を壊さないように意識しています。患者さんやご家族、行政の方と密に関わるので、意見を交換することが多いです。しかし、医療職だからといって根拠のある正解だけをぶつけるのは少し違うのかなと考えています。患者さんにもご家族にも考えがありますので、そういった声をしっかりと聴きながら、意見交換するように心掛けています。

時に、患者さんとご家族の意見が食い違ってしまうこともあります。そうなると、ケースワークが滞ってしまい入院期間が長引く原因になることもあります。私は、潤滑剤のように中立の立場を保ちながら、退院へ向けて話が進むように、IC等を調整しながら皆さんの意見をうまくまとめるようにしています。

また、医師と患者さんの意見が食い違うこともしばしばあります。患者さん的にはもう治療の必要がないくらい元気だから退院したいと言いますが、医学的にはまだまだ治療が必要ということがあります。私は医療者なので、医学的に治療が必要なことは理解できますが、退院したいという患者さんの気持ちも十分理解しているつもりです。できるだけ納得して治療を受けてもらえるように立ち回ることも大切にしています。

成仁への就職を考えている方へのメッセージをお願いします

成仁病院は精神科単科の病院です。しかも急性期の患者さんを中心に医療提供している、かなりニッチな病院になるので、学べることが少ないのではないかと思われるかもしれません。しかし当院は精神科救急病院としてあらゆる精神疾患の方を断らずに受け入れています。すべての救急を受け入れる当院だからこそ、様々な境遇にある患者さんと出会うことができます。また状態像も人それぞれです。

そのような方々を、入院から退院後まで支援をしていますので、114床の小さな病院とはいえ精神科のプロフェッショナルになるためのステージは用意されていると思います。最初は大きい大学病院や総合病院の方がいいのではないかと思う方がほとんどだと思いますが、興味を持たれた方は、まずはインターンシップや病院見学会にお越しいただければと思います。